小山田信茂公顕彰会にて1冊目の論集を創刊しました。

目次

1.創刊にあたり~ご縁に恵まれて
   小山田家36代(信茂公より19代後)
             小山田 隆信

2.はじめに            
  小山田信茂公顕彰会 主宰
               松本憲和

3.武田家滅亡に関する一考察  
    小山田信茂公顕彰会 主宰
               松本憲和

4.忠臣、小宮山内膳の遺書   
  副題 笹子峠は封鎖されていなかった
   小山田信茂公顕彰会 副会長
               武田和春

.松姫様逃走経路の確認・信松院絵図
  からの一考察と小山田信茂公の決断  
    小山田信茂公顕彰会 会長
               小俣公司

6.信茂公は何のために蔵除源左右衛門を
  代官として上暮地村に送ったのか 
    小山田信茂公顕彰会 副会長
               大谷満水 

【内容紹介】

1.創刊にあたり~ご縁に恵まれて
             小山田家36代(信茂公より19代後)
                           小山田 隆信

「新編・小山田信茂論集(1)」創刊にあたり、小山田信茂末裔として一言ご挨拶
申し上げます。

振り返りますと、2012年「武田勝頼・新府にらさきの会」で松本憲和氏の歴史
講座が始まると聞き、当時在住していた岩手から駆け付けました。

まず、主催者が松本先生を講師にお願いしたのは、ご著書で「小山田信茂は
逆臣ではない」と主張されているからとのことでした。
勝頼公の里・韮崎に、このようなお考えの方々がおられることに、私は驚嘆
しました。
遠方ゆえ出席できたのは二回でしたが、そこで、様々な出合いを頂きました。
都留、甲斐大和、大月方面からの参加者、もちろん主催者側の方々ともお話
させて頂きました。 
その前年、ご著書を送って下さった松本先生に、父は電話で「子孫がいくら
言っても、なかなか信じてもらえないので、お願いします」と申したと聞いてい
ます。
先生にお会いできる日を楽しみにしておりましたが、退任半年前に急逝しました。
先祖の重みをずしんと感じたのはその時でした。

父がなぜ古い絵図を表装したり、刀剣の手入れに手間暇かけていたのか?
都留市の博物館に寄託してある小山田家伝来品や収集品の資料整理などを
しながら、それらは、小山田氏の歴史を示すだけでなく、「日本の財産だから、
誰かが保存していかねばならない」と父が言っていたと知りました。

平成元年(1989年)に、かつて小山田氏の菩提寺の一つであった冨春山桂林寺
にて、先祖の墓地の修復をさせて頂き(織田宗博住職と織田宗覚副住職の読経により、)
その法要が行われました。
境内には都留市郷土研究会等のご尽力で小山田氏の顕彰碑も建てて頂きました
菩提寺大儀山長生寺、その末寺の厳空山威徳寺にも先祖の慰霊して頂いています。
小山田氏は岩殿山に拠って甲斐の国(山梨県)を守ってきましたが、天正十年
(1582年)武田氏と共に郡内領主小山田氏は滅びました。
小山田信茂は最期の領主となりましたが、その後、一族は北条氏に仕えた後、
南部藩に仕えました。

信茂の孫娘は、天正十年当時、信玄公息女の松姫様に連れられて八王子に逃れ、
後に武田家再興の祖となりました。

結びにあたり、小山田信茂公顕彰会の皆様はじめ、小山田信茂の諸研究にご尽力
頂きました方々に心より感謝申し上げますと共に、顕彰会の発展と皆様のご活躍・
ご健勝を祈念申し上げまして、創刊のお祝いの言葉とさせていただきます。

   

2.はじめに            
                    小山田信茂公顕彰会 主宰
                              松本憲和

天正十(1582)年3月(旧暦)、甲斐国に押し寄せた織田徳川連合軍の猛攻により、
甲斐武田家は滅亡した。
勝頼公夫妻、長男の信勝公は笹子峠の北西側、甲斐大和の田野で土屋兄弟ら腹心
たち、侍女たち(約50人)と自刃して果てた。
実は武田家の滅亡について判明しているのは以上だけである。

「小山田信茂公裏切り脱」は、「甲陽軍艦」が江戸時代初期に出版されて広まり、
反論もなきまま現代まで定説とされてきた。
これを見直す契機となったのが、朱稿本『理慶尼記』(寛永十三年写本)の発見である。
武田家の滅亡を扱ったこの本は、『甲陽軍鑑』とは違い、笹子峠の東側大月方面から
見て書かれている。

これには田野から大月に逃れた数名の人名が見える。
定説では「笹子峠は小山田氏により封鎖されていた」となっていたが、実は封鎖されて
おらず、裏切り説も再考されることになり研究が進んでいる。
また大月市では有志による「小山田信茂公顕彰会」が結成され、信茂公の事跡を掘り
起こす活動も始まった。
この「論集」は、これら活動から生まれた一成果である。
忌憚のないご意見、ご感想をお聞かせください。

  

・定価500円/送料別

・問合せ先:小山田信茂公顕彰会HPご参照ください。